プロティアン・キャリアへの道 ~ 第4回「そして神戸」

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■そして神戸

プレハブ旅行会社を退職して、全く自分を見失っていました。

住んでいるのは実家だし、食べるものには苦労しない。
だけど何の目標も、目的もない。
やりたいことも、何も思い当たらない。
このままだと、引きこもりになってもおかしくない状況でした。

そんな中、1か月もたたないうちにかつての船会社の上司から連絡があったのです。
(こういう運は、なぜか持ち合わせていました)

「今、何してるの?」
「実は、最近会社を辞めました。」
「そうか。なんとなくそう思って電話してみた。
船の時の部長が、神戸でレストランをやってるから、とにかく会いに行け。」
「はい。わかりました。」

ありがたいのか、そうでないのか未だにわからないのですが、
気に留めていただいていたのはありがたいこと。
すぐに、神戸ハーバーランドにあるレストランへ、部長を訪ねて向かったのでした。

神戸ハーバーランドはキラキラしていました。
街びらきしてから、まだ1か月しか経っておらず、それはそれは夢の街のように思えたのです。
その中で、そのレストランは500席を超える大型ビアレストランでした。

船が止まってから約半年しか経っていませんが、久しぶりにお会いする部長は、
どこか生き生きされているように感じました。
船が終わってからの話や、このレストランができた経緯などを伺い、私は、旅行会社での出来事や現状をお話しさせていただきました。

でも、すぐにここで働きたいと思うことはできなかったのです。
自分の中で、怖さや迷いもありました。
「しばらく考えさせてください。」と伝え、神戸ハーバーランドを後にしました。
それから、1週間ほど悩むこととなりました。

自分は一体、何がしたいのか?
自分は何者なのか?
全くわからないまま、時が過ぎていきました。

もう一度、神戸ハーバーランドを訪れ、そのレストランで食事をすることにしました。
すると、そこには船の時の社長がいて、私のことを覚えていてくれました。
何を話したのかは覚えていないのですが、おごってくれたのは覚えています。

そのことがきっかけの一つになったのは間違いありません。
キラキラした神戸ハーバーランドで働いてみたいという気持ちもありました。
ただ、社員になることは、どこか引け目を感じていたし、他の仕事も探してみたいという気持ちもありました。

結局、神戸ハーバーランドの巨大レストランのアルバイトとして働くとことなりました。
今から思えば、やっぱり流されていたのだなと思います。
かつての上司や仲間から声をかけていただくということは、大変ありがたいことなのですが、それに甘えてしまってばかりになってしまうと、よくないことも起きてしまいます。

もう少し、自分の考えが整理できていれば、もう少し違ったキャリアを歩めていたのかもしれません。
楽な方へ楽な方へ流されてしまいがち。
私も、そんな一人です。


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