「居場所」をつくるということ
事務局園田です。気づけば今年も、残すところあと2週間…
なんだか無意味に焦ってしまいます。
やり残したことがありすぎる気がして・・・。
とりあえず、今できること、最低限しなければならないこと(=家の大掃除)を、
精一杯やりたいとおもいます・・・(._. )
さて今日は、先週の金曜日(12月16日)の出来事をお伝えします。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
午前中、A´ワーク創造館内にある、「おおさかパーソナルサポートSBセンター」
(詳しくは…http://www.nice.ne.jp/modules/bulletin/article.php?storyid=129)の、
「生活保護受給者への就労支援について」をテーマとした内部研修会に参加しました。
講師は、釧路社会的企業設立協議会の櫛部武俊さん。
『当事者性に根ざしたケアの創造』というタイトルで講演していただきました。
櫛部さんは、釧路市の生活福祉事務所に22年間勤務され、
生活保護受給者の自立支援に長年携わってこられた方です。
釧路市では、産業の衰退による景気の悪化等から、
この10年間で生活保護受給者数が倍増し、
現在では市民の19人に1人が生保受給者(大阪市は18人に1人と言われている)とのことです。
そんな中で、櫛部さんは、「稼動能力のある/なし」で生保受給や支援の可否を決定する
従来のやり方に疑問を感じ、「当事者性」に根ざした新しい自立観を提案し、
その実現に向けての支援体制を作ることに、尽力してこられました。
今回、その「釧路チャレンジ」と呼ばれる自立支援プログラムを紹介していただいたのですが、
その充実した内容と理想的な協力体制に、驚きと感銘を受けました。
「保護か、就労か」のオール・オア・ナッシングではなく、
保護を受けつつ、就労体験をしたりボランティア活動を行ったり、
個々の状態に合った短時間の労働をして収入を得たりと、
当事者の方それぞれのペースで自立に向けての活動ができる・・・という柔軟なプログラム。
障がい者の作業所や福祉施設、病院、農園など、多くの民間団体や企業が、
当事者の方々の就業体験やボランティアの受け皿となっており、
地域一体となって自立支援に関わっていく体制が整っているそうです。
また、その中には、中学生を対象とした学習支援プログラムも含まれており、
当事者の方がチューターとなり子どもに学習指導を行うという活動も行われているとのこと。
地域と行政が一体となって支援に取り組んでいる点、
それぞれのプログラムが期間で区切られておらず長期的な支援が可能である点など、
ここ大阪市にはない特色がたくさんあり、勉強になりました。
中でも特に印象に残ったのが、
これらの活動が、一人ひとりの「居場所」を作ることにつながっていることです。
当事者の方々が、活動に参加して自分の中で変化したことを語っているDVDを見せていただいたのですが、
「他の人とのふれあいを通して、“つらいのは自分だけじゃない”と考えるようになった」
「(子どもに勉強を教える立場になって)どうやったら、より分かりやすく教えられるか、頭を使って考えるようになった。生きてて楽しいと思えるようになった」
といった思いが語られていました。
「自分はここにいていいんだ」という所属感や安心感、
「自分にはこんなことができる、自分も誰かの役に立っている」という自己効力感を持つことが、
人にとってどれだけ大切か、ということを改めて感じさせられました。
逆に言えば、人は、それらの感覚を持てない環境にいればいるほど、
社会生活から遠ざかっていき、自分を否定し、生きる気力を失っていくということです。
単なる、就労に向けてのトレーニングの場として捉えるだけでなく、
「居場所」という機能を持たせることが、成功の秘訣ではないかと思いました。
櫛部さんにはもっと聞きたいことがたくさんあったのですが、
かなわなかったので、この本を読んで勉強したいと思います。
『希望をもって生きる―生活保護の常識を覆す釧路チャレンジ』
櫛部さん、お忙しい中、大阪までお越しくださり、ありがとうございました!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
そして、午後は、先日もお伝えした「大阪市就業体験事業」の修了式でした。
3ヶ月間、パソコン研修やコミュニケーションワーク、職場体験などに取り組んできた、
5人の受講生が無事に修了証書を手にしました。
一人ひとりに感想を言ってもらいましたが、皆さん、自分自身の成長を実感している様子でした。
先日こちらでお伝えした、A´で職場体験をした(なんと皆勤!すばらしい)Tさんは、
「自分に自信が持てるようになった」と言っていました。
最初にA´に来たときとは別人のような、明るく柔らかい表情になったTさん。
自信が表情にも表れてきたのかなと思います。
Nさんは、途中、欠席が続きあわやリタイア?と思われたのですが、
「やっぱり最後まで通いたい!」と強い意志を持って、最後まで参加しました。
「今まで、いろんな講座とか就労支援を受けたけど、他人を意識したことがなかった。
ここでは、他の人とたくさん話す場面があって、そこで初めて他の人も悩んでいると知った。
自分一人だけがつらいんじゃない、と気づいた。だから最後まで頑張れた」
と、他人とのつながりを得たことで、自分が変化したことを、伝えてくれました。
これは、午前中の研修の中で、釧路の就業体験プログラムの参加者の方が
言っていたことと全く同じことでした。
A´も、受講生の皆さんにとっての「居場所」になれたのかな…と、
まだまだ未熟者の私にとって、自信をもらえた言葉でした。
また、授業中もいつも独特の持論を展開していたOさんが、こんなことを言っていました。
「私たちはおでんと同じ。おでんはいきなり強火で煮込むと、煮崩れておいしくない。
弱火でじっくり煮込むことがおいしいおでんを作るコツだ。
私たちも、ゆっくり時間をかけて、自分のペースで、頑張っていきたい」
すごく独特な表現だけど、なるほど・・・と思わされた言葉でした。
下の写真は、そのOさんが、パソコンの授業で習ったことを生かして作った文書です。
Oさんは、クラスの中でも最年長で、最初はダブルクリックもままならないほど、
パソコンに苦戦していたのですが、誰よりもたくさん練習して、
今ではワードでの社内文書やエクセルのグラフ作成などもこなせるまでになりました。
最後の2文に、はっとさせられました。
今の時代、将来への不安や、日々の生活への不満などで心が覆われてしまい、
小さな幸せを感じにくくなってしまっている人が多いように思います。
また、そうなると、自分のことで精一杯になってしまい、
他人の幸せを願うことなどとてもできなくなってしまうと思うのです。
最近の自分がまさにそんな感じでした。
Oさんがこれを書いてくれたおかげで、大切なことを見失わずに、
一年を締めくくることができそうです。
受講生の皆さん、3ヶ月間お疲れ様でした。
そしてたくさんの贈り物を、ありがとうございました。
なんだか無意味に焦ってしまいます。
やり残したことがありすぎる気がして・・・。
とりあえず、今できること、最低限しなければならないこと(=家の大掃除)を、
精一杯やりたいとおもいます・・・(._. )
さて今日は、先週の金曜日(12月16日)の出来事をお伝えします。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
午前中、A´ワーク創造館内にある、「おおさかパーソナルサポートSBセンター」
(詳しくは…http://www.nice.ne.jp/modules/bulletin/article.php?storyid=129)の、
「生活保護受給者への就労支援について」をテーマとした内部研修会に参加しました。
講師は、釧路社会的企業設立協議会の櫛部武俊さん。
『当事者性に根ざしたケアの創造』というタイトルで講演していただきました。
櫛部さんは、釧路市の生活福祉事務所に22年間勤務され、
生活保護受給者の自立支援に長年携わってこられた方です。
釧路市では、産業の衰退による景気の悪化等から、
この10年間で生活保護受給者数が倍増し、
現在では市民の19人に1人が生保受給者(大阪市は18人に1人と言われている)とのことです。
そんな中で、櫛部さんは、「稼動能力のある/なし」で生保受給や支援の可否を決定する
従来のやり方に疑問を感じ、「当事者性」に根ざした新しい自立観を提案し、
その実現に向けての支援体制を作ることに、尽力してこられました。
今回、その「釧路チャレンジ」と呼ばれる自立支援プログラムを紹介していただいたのですが、
その充実した内容と理想的な協力体制に、驚きと感銘を受けました。
「保護か、就労か」のオール・オア・ナッシングではなく、
保護を受けつつ、就労体験をしたりボランティア活動を行ったり、
個々の状態に合った短時間の労働をして収入を得たりと、
当事者の方それぞれのペースで自立に向けての活動ができる・・・という柔軟なプログラム。
障がい者の作業所や福祉施設、病院、農園など、多くの民間団体や企業が、
当事者の方々の就業体験やボランティアの受け皿となっており、
地域一体となって自立支援に関わっていく体制が整っているそうです。
また、その中には、中学生を対象とした学習支援プログラムも含まれており、
当事者の方がチューターとなり子どもに学習指導を行うという活動も行われているとのこと。
地域と行政が一体となって支援に取り組んでいる点、
それぞれのプログラムが期間で区切られておらず長期的な支援が可能である点など、
ここ大阪市にはない特色がたくさんあり、勉強になりました。
中でも特に印象に残ったのが、
これらの活動が、一人ひとりの「居場所」を作ることにつながっていることです。
当事者の方々が、活動に参加して自分の中で変化したことを語っているDVDを見せていただいたのですが、
「他の人とのふれあいを通して、“つらいのは自分だけじゃない”と考えるようになった」
「(子どもに勉強を教える立場になって)どうやったら、より分かりやすく教えられるか、頭を使って考えるようになった。生きてて楽しいと思えるようになった」
といった思いが語られていました。
「自分はここにいていいんだ」という所属感や安心感、
「自分にはこんなことができる、自分も誰かの役に立っている」という自己効力感を持つことが、
人にとってどれだけ大切か、ということを改めて感じさせられました。
逆に言えば、人は、それらの感覚を持てない環境にいればいるほど、
社会生活から遠ざかっていき、自分を否定し、生きる気力を失っていくということです。
単なる、就労に向けてのトレーニングの場として捉えるだけでなく、
「居場所」という機能を持たせることが、成功の秘訣ではないかと思いました。
櫛部さんにはもっと聞きたいことがたくさんあったのですが、
かなわなかったので、この本を読んで勉強したいと思います。
『希望をもって生きる―生活保護の常識を覆す釧路チャレンジ』
櫛部さん、お忙しい中、大阪までお越しくださり、ありがとうございました!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
そして、午後は、先日もお伝えした「大阪市就業体験事業」の修了式でした。
3ヶ月間、パソコン研修やコミュニケーションワーク、職場体験などに取り組んできた、
5人の受講生が無事に修了証書を手にしました。
一人ひとりに感想を言ってもらいましたが、皆さん、自分自身の成長を実感している様子でした。
先日こちらでお伝えした、A´で職場体験をした(なんと皆勤!すばらしい)Tさんは、
「自分に自信が持てるようになった」と言っていました。
最初にA´に来たときとは別人のような、明るく柔らかい表情になったTさん。
自信が表情にも表れてきたのかなと思います。
Nさんは、途中、欠席が続きあわやリタイア?と思われたのですが、
「やっぱり最後まで通いたい!」と強い意志を持って、最後まで参加しました。
「今まで、いろんな講座とか就労支援を受けたけど、他人を意識したことがなかった。
ここでは、他の人とたくさん話す場面があって、そこで初めて他の人も悩んでいると知った。
自分一人だけがつらいんじゃない、と気づいた。だから最後まで頑張れた」
と、他人とのつながりを得たことで、自分が変化したことを、伝えてくれました。
これは、午前中の研修の中で、釧路の就業体験プログラムの参加者の方が
言っていたことと全く同じことでした。
A´も、受講生の皆さんにとっての「居場所」になれたのかな…と、
まだまだ未熟者の私にとって、自信をもらえた言葉でした。
また、授業中もいつも独特の持論を展開していたOさんが、こんなことを言っていました。
「私たちはおでんと同じ。おでんはいきなり強火で煮込むと、煮崩れておいしくない。
弱火でじっくり煮込むことがおいしいおでんを作るコツだ。
私たちも、ゆっくり時間をかけて、自分のペースで、頑張っていきたい」
すごく独特な表現だけど、なるほど・・・と思わされた言葉でした。
下の写真は、そのOさんが、パソコンの授業で習ったことを生かして作った文書です。
Oさんは、クラスの中でも最年長で、最初はダブルクリックもままならないほど、
パソコンに苦戦していたのですが、誰よりもたくさん練習して、
今ではワードでの社内文書やエクセルのグラフ作成などもこなせるまでになりました。
最後の2文に、はっとさせられました。
今の時代、将来への不安や、日々の生活への不満などで心が覆われてしまい、
小さな幸せを感じにくくなってしまっている人が多いように思います。
また、そうなると、自分のことで精一杯になってしまい、
他人の幸せを願うことなどとてもできなくなってしまうと思うのです。
最近の自分がまさにそんな感じでした。
Oさんがこれを書いてくれたおかげで、大切なことを見失わずに、
一年を締めくくることができそうです。
受講生の皆さん、3ヶ月間お疲れ様でした。
そしてたくさんの贈り物を、ありがとうございました。
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